フランスで始まった、主に認知症高齢者のケアのためのメソッド、ユマニチュードについての本を読みました。

 

見る(視線を合わせる)、話す、触れる、立つ(患者が立った体勢での介護)という4点にポイントを置いた、「あなたのことを大切に思っている」と伝えるための看護技術なのですが、その根本にあるのが「人間としての尊厳」を大切にすること。

 

人が人として存在し、尊厳を保てるのは、人として認めてもらい、扱ってもらうから。

もし、だれにも見てももらえず、話かけてもらえず、触れてもらえないとしたら、子供はどのようになってしまうのか・・・想像しただけで胸が痛くなりますね。

 

この本に書かれているユマニチュードの精神は、チネイザンの精神に通ずるものがあります。

こころをこめて触れたり、言葉にならない想いを深く聴くことで、共鳴し、変化が起こっていきます。

 

おそらく、私たちの先祖たちは、何万年ものはるか昔、まだ言葉を多く持たなかった時代に、そんな風にお互いを労わり、ケアし合ってきたのではないかと思います。

SNSの発達で、コミュニケーションがどんどんデジタル化している今こそ、チネイザンのような、とても原初的なケアが必要とされていると感じます。

 

 

 

青江 杏香

()日本チネイザン協会認定チネイザンプラクティショナー(ベルII)、および日本チネイザンスクール・アシスタントインストラクター。ネイザンプラクティショナーとして、土日祝を中心に、東京・阿佐ヶ谷にてセッションを行うとともに、日本チネイザンスクールのアシスタントインストラクターとして、プラクティショナーの養成に携わっている。